• 槇原敬之

    「243」
  • 赤いマフラー

    赤いマフラー

    銀座四丁目交差点に今年初めての雪が季節外れの花びらのように舞い落ちてきた君は覚えているだろうか一緒に歩こうと約束したクリスマスがこの街に今年もやってきたよ渡せないまましまっておいたプレゼントのリボンを解いた君に似合う色を選んだから僕にはだいぶ派手だけれど赤いマフラーを巻いて歩く僕がガラスに映る渡せなかったプレゼントを自...
  • 五つの文字

    五つの文字

    繰り返すだけの毎日と勝手に思い込んでいたけれど明日が必ず来るとは誰も言い切る事など出来ないと知ってこんなふうに僕の1日が何事もなく終わる事さえこんな僕に起った奇跡のようにも思えるんだなんでも当たり前にみえる心のメガネを外したら今日という日は神様からの素敵な贈り物と気づけたんだ最後に付けた五つの文字を僕はやっと書き直せた...
  • 祈りの歌が聞こえてくる

    祈りの歌が聞こえてくる

    歌は誰の唇にも止まる鳥がどんな枝にもとまるように今日も君の唇に歌はとまり君の声を借りて歌う下手だから恥ずかしくて聴かせたくないというけど何かに夢中の君が知らずに歌う歌が大好きなんだだから今だってその唇にとまった歌が逃げていかぬよう気付かないふりで耳をすまして聴いているんだ歌は誰の唇にも止まる鳥がどんな枝にもとまるように...
  • Anywhere

    Anywhere

    光るタワーの上の方が低気圧の空に飲み込まれて見慣れた東京が知らない街のように見えたんだ一人取り残されたような気持ちに僕はなりかけたけど横を向くと大好きな人の横顔が見えたんだそのとき僕は解ったんだここがどこでも構いはしないと君のいるこの場所が僕の生きていく場所だ人が誰でも幸せになるために生まれてきたのなら君のいるその場所...
  • カイト

    カイト

    キャップの上からフードかぶりポケットに手を入れ立ちすくむ君の姿はまるで氷山に取り残されたペンギンお台場 浜辺のカフェの椅子が強い海風に動かされるそれからもまるで目をそらすように君は空を見上げる一月初めめずらしく凧揚げをする子供たち深呼吸しながら腕のばす君の袖がはためくよ向かい風をうけながら高くあがって行くカイト追い風が...
  • Circle of Rainbow

    Circle of Rainbow

    流れ落ちるビクトリアの滝舞い上がる水煙に太陽が描く巨大な丸い虹がテレビに映るいつかこの目で見たいと旅に想いをはせかけて横にいる犬に気づきしばらくはお預けだったと思い出す心なしか申し訳なさそうな顔をしている様に見える気にするなよ 冬の朝も明けるそろそろ 散歩に出かけよう歩道に差し込む朝陽が眩しくてクシャミをした犬の鼻先に...
  • Dance with me.

    Dance with me.

    こんな曲じゃ 昔はうまく踊れなかったのにねエスカレーターに乗るように初めの一歩も自然に踏み出せるもともと苦手だからきっと僕の踊りは変だよでももう気になんてしない悪くないと君が笑ってくれるから足を踏まないようになるのはもっと年をとってからでもいい今日の音楽に合わせて僕らの今日をちゃんと踊ろうどんな曲が聞こえてくるだろう心...
  • GREEN DAYS

    GREEN DAYS

    ほどけた靴ひもを直そうと君がしゃがんだら目の前に緑色の道が続いてたそれぞれがちゃんと一人で悩んだと分かったダイニングを出た僕らに湿った夏の夜風よかった この世界はサイテーだと誤解したままで今日一日が終わらずにすんだよ君といたからだわからない事だらけでもホントの事だけ探していこうそんな気持ちを誰もがきっと青春と呼ぶのだろ...
  • 世界に一つだけの花

    世界に一つだけの花

    NO.1にならなくてもいいもともと特別なOnly one花屋の店先に並んだいろんな花を見ていたひとそれぞれ好みはあるけどどれもみんなきれいだねこの中で誰が一番だなんて争うこともしないでバケツの中誇らしげにしゃんと胸を張っているそれなのに僕ら人間はどうしてこうも比べたがる?一人一人違うのにその中で一番になりたがる?そうさ...
  • 遠く遠く

    遠く遠く

    遠く遠く離れていても僕のことがわかるように力いっぱい 輝ける日をこの街で迎えたい外苑の桜は咲き乱れこの頃になるといつでも新幹線のホームに舞った見えない花吹雪思い出すまるで七五三の時のよにぎこちないスーツ姿も今ではわりと似合うんだネクタイも上手く選べる同窓会の案内状欠席に丸をつけた「元気かどうかしんぱいです。」と手紙をく...
  • フルサト

    フルサト

    とがった先の鉛筆じゃ だめな気がして意味のない円を落書きしてまるくしてかいた「ありがとう」「気をつけて帰ってきてね」 電話の切り際あなたがくれたその言葉がどんなに嬉しかったか手紙を書いた故郷(ふるさと)を遠く離れた街 部屋の鍵はあるけれどずっと探していた 心休まる故郷のような場所を生まれた街も 子供の頃も 何もしらない...
  • 約束の場所

    約束の場所

    無理かも知れないように 思えても僕は一番叶えたい事を夢に 持って生きていくよ日が暮れたのに気づかず 夢中で頑張って出来るようになった逆上がりも あの頃の僕の大事な夢だったどれだけ時間がかかっても 夢を叶えるその時まであくびもせかす事もせず 未来は待ってくれていた夢は時間を裏切らない 時間も夢を決して裏切らないその二つが...
  • 今年の冬

    今年の冬

    電気ストーブの低いノイズと 君の寝息がとける頃そっとベッドからぬけ出して キッチンでミルクをついだ幸せを確かめたくて 眠れない夜があるね目ざましの赤いLEDが 誕生日の日付けになった気に入ってたセーターを 相棒の犬がかんでいてひどく叱りつけていたら あげたのは私よと笑った今年の冬も僕には 君がゆっくり積もるこの街のあた...
  • チキンライス

    チキンライス

    親孝行って何?って考えるでもそれを考えようとすることがもう親孝行なのかもしれない子供の頃たまに家族で外食いつも頼んでいたのはチキンライス豪華なもの頼めば二度とつれてきてはもらえないような気がして親に気を遣っていたあんな気持ち今の子供に理解できるかな?今日はクリスマス街はにぎやか お祭り騒ぎ七面鳥はやっぱり照れる俺はまだ...
  • Gazer

    Gazer

    君を守ってやれるような強い男でいたいのにその理想とはほど遠い弱さばかり出てくるんだ出来れば自分でも目を背けたくなるような駄目な僕を何度も君に見せてるはずなのにどうして君は変わらずにいてくれるんだろうそう尋ねる僕に君は笑う「一人じゃ二人の幸せはみつけられない」君は太陽や月のように見晴らしの良い高い場所に心を置いてどんな僕...
  • ほんの少しだけ

    ほんの少しだけ

    あの時泣きやんでくれない君になんて言ったか僕は覚えている下駄のそばには割れたヨーヨーでも君が突然泣き出したのは別の理由だった人混みの中手をつないだはぐれないように 君たぐり寄せた不安そうに 僕の顔見上げては思わず可笑しくてふきだしたあの縁日の帰り道 日が暮れる街に伸びた二つの影達はしゃぐ僕たちに釣られて踊ってるようでな...
  • ゥンチャカ

    ゥンチャカ

    恋しいなぁとか 辛いなぁとか収まらないなぁとか 満たされたいとか溢れてありあまる色んな欲望は体を動かすエネルギーになる良いことをするにも悪いことをするにも同じ力がいるならば良いことに使いたい夏なら墓参りとか 挨拶回りとかお金も時間も流す汗も涙も君の何一つさえも悲しみや憎しみ 怒りの為に使わないでほしい僕でよければ歌いま...
  • ココロノコンパス

    ココロノコンパス

    喜ばせようとしたことが裏目に出てしまったからと言って何もしない自分の方がマシだなんて思わないで君をうごかしたものが喜んでもらいたいとただそれだけをおもう心なら誰も傷つけることはない誰かのために何かをするのは難しいため息と一緒に君がこぼしたその言葉こそ心が向かうべき場所へ向かっている証心のコンパス その針が震えもせず示す...
  • どんなときも。

    どんなときも。

    僕の背中は自分が 思うより正直かい?誰かに聞かなきゃ 不安になってしまうよ旅立つ僕の為にちかったあの夢は古ぼけた教室のすみにおきざりのままあの泥だらけのスニーカーじゃ 追い越せないのは電車でも時間でもなく 僕かもしれないけどどんなときも どんなときも 僕が僕らしくあるために「好きなモノは好き」と言える気持ち 抱きしめて...
  • 明けない夜が来ることはない

    明けない夜が来ることはない

    窓に映るのは一つ 頬杖を付きながら明けない夜を信じてしまいそうな僕だけ今このスタンドを消せば世界は僕の心と同じ上か下かも解らない暗闇に飲まれそうだあまりにも違う高さの襟もとに目がいった僕はボタンを掛け違えたままシャツを着ている例え人を責めても自分の事は一度も省みず生きてきた僕の本当の姿だろう掛け違えたボタンを自分で正せ...