• SION

    「95」
  • Darling

    Darling

    薄明かりの射す部屋で 微睡みから覚めて静かな祈りに似た 雨音を聞きながら君の寝顔を見る目を閉じていただけで 寝てなかった君は胸が痛くなる ほどに澄んだ目で笑って僕を見るdarling darling darling darlingdarling darling darling darling綿菓子のような雨が 時間にさ...
  • 地下街

    地下街

    凍みる雨を避けて地下道 歩くこんな日はお前のことなど思い出したくない夜に限っていつも 俺はやられる仕事帰りの疲れた顔達の向こうから お前がこないかとせっかくの最後の夜何も言えずお決まりの青い態度で手を振った「違うだろ」 もう一つの声に蓋をしてシャッターの降りてしまった地下街で泥みたいな顔した地下道 歩く帰る家が帰りたい...
  • test

    test

    空を飛びたいなら飛行機に乗らなきゃどこからでも飛べるわけじゃないtest test test を重ねてプロペラは回るか翼はゆがんでないかどこからでも飛べるわけじゃないtest test test を重ねて青い空の日だけじゃない強い風が吹いたり雨が降ったり雷が鳴ったり目をつぶって飛ぶ歳じゃない悲しいあなたを想ったりかわい...
  • どこに行くんだろう

    どこに行くんだろう

    どこに行くんだろう何をするんだろういつかなにか 見つかるのかないつも笑っているいつも誰かといるだけどいつも ひとりぼっちかもねえ教えてよどうしたらいいのかもうわからないねえ教えてよそしたらもういい子になるからさなんてうそだよ だまされた?そんなわけないじゃんちいさい頃はね唄をうたいたかったみんなあたしに 夢中にしたかっ...
  • 夏の終わり

    夏の終わり

    熱からさめた日差しが お前の横顔みたいな風が今年も一回こっきりの夏が終わりを教える訳もなく夏の終わりが寂しいのは子供だけじゃないんだぜひとりじゃないから笑うのも笑われたくないから黙るのもあの日と同じ不安とあの日と同じ胸の痛みとあの日と違う リアルを連れてくるからいつかお前がぽつんと言った 夏の終わりは寂しいね何言ってん...
  • バッカス

    バッカス

    焼け崩れても懐かしい 古い小さな横町のわきを黄色い電車で ゆっくり通り過ぎていくその昔人はあたたかく 思いやりもあったと独り言が止まらない 男と同じ車両で中途半端な時間に 中途半端な用事で電車を降りた俺は なのに急いでるその昔君は白か黒で 灰色は持ってなかったな後ろから俺の声がして ちょっと振り返るバッカスの隣の席に空...
  • 道があるなら

    道があるなら

    色を変えて形を変えて投げ込まれる顔のない声に気にするな言わせとけ思うものの目障りでわかってほしいから振り絞っているけどわかってもらう為だけに生きてない誰もがみんなしあわせになれる道があるなら見してくれ諦めの笑顔を置いて俺は黙って席を立っただからって俺がやることはこれからも変わらないのさ楽しくやりたいから振り絞っているけ...
  • 夕焼け

    夕焼け

    歩道橋の上で 夕焼けに気付いた左の頬をさわられ 夕焼けに気付いた手すりにもたれ 夕焼けに見とれた静かで強い 大きさに見とれた空に刺さるビルも まるでこたつの中にいるようで角が取れた顔で 凝った体をそっと解いてくれる今日ここを歩いてよかった今日今ここにいてよかった歩道橋の上で 夕焼けを見ているいろんな顔や事が 赤い雲とな...
  • がんばれがんばれ

    がんばれがんばれ

    いつだってびっくりさせて心配させていけないねそれだって嬉しくなるから父さんがいたらきっと怒られるいつでもここにいるから帰って来ていいんだよそう思えばあとひとつふたつできる我慢もふえるでしょ がんばれがんばれ長い雨がやっと上がったから犬と散歩をしてきたよちっちゃい頃のおまえのまねして水溜まりで遊んだよ気が強いくせになんだ...
  • 金魚

    金魚

    金魚が欲しいのに 飼えないから悲しい金魚が飼えたなら 他に何もいらないのに欲しくて 欲しくて どうしても欲しいのにいい子じゃないから 飼っちゃいけないっていい子にしてたから 金魚を買ってもらえた水槽もいっしょに ブクブクもいっしょにうれしく うれしくて みんな大好きになったうれしく うれしくて 道草もしなくなっただけど...
  • ありがてぇ

    ありがてぇ

    ビルに沈んでく おてんとう様も今じゃ変わりなく 妙にいいさいつか夢見た暮らしは まだ光ってて力をくれる ありがてぇまあ いろいろあるさ いろいろあるさ生きてっからね明日早いから もう一杯だけ飲んだら寝るからよ おっ ありがてぇいつもこうして お前明るいからいつもついつい 甘えちまうほんとは逆じゃなきゃ いけないよなつく...
  • 彼女少々疲れ気味

    彼女少々疲れ気味

    彼女 少々 疲れぎみ報われないから 疲れぎみヤケになるほど 若くないしひとりで生きるほど 強くないしわかちあうものを 探すけどいつも最後は ガマン ガマン ガマンバカな女をやるほどのいい男はいないし また冬は来るし酔っぱらえば みっともないと言われ黙っていれば きどっていると言われ欲しがれば 好き者と言われ寂しがれば ...
  • 月が一番近づいた夜

    月が一番近づいた夜

    月が一番近づいた夜何もしゃべれなかった男の子が「きれいだね」ってママを驚かせずっと車椅子の女がなんでもなかった様に立ち上がって下着を替えた月が一番近づいた夜何も聞いたことがなかった女の子が「静かだね」ってパパを驚かせ箸さえ持てなかった男がずっとそうしてきたみたいに両手で彼女を抱き締めた月が一番近づいた夜出稼ぎに行ったき...
  • 蛍

    蛍を見るなら あの町が一番さ小さな川には いくつも橋がかかってよひっそりと そしてあったかいその川の回りには いろんな店がポツポツと飲み屋やら メシ屋やらそれがまた うまくてよひっそりと そしてあったかい―の坂川へ お前を連れて―の坂川へ 連れて帰る小さな町だし 何もない町だけど2,3年いただけで どうってことない町だ...
  • カーテン

    カーテン

    寂しさは静かなやすらぎだと 言われればたしかに そんな気もするができれば カンベンしてくれやけに薄いカーテン なのに重いカーテンまばたきをするたびに その色形さえ変えてカメレオンにゃなれないしましてライオンじゃないから寂しさは静かなやすらぎだと 言われればたしかに そんな気もするができれば カンベンしてくれまとわりつく...
  • 記憶の島

    記憶の島

    子供が声をあげて はしゃぐ水しぶきの様に キラキラと近づかなきゃ よかった子供は百才で そして泣いていたここからでも 空は見えるし馴れれば 泳げないこともないアザラシは 一人言の様につぶやきゴリラは ただ手をさし出ている砂の城で暮す紙のナイフを持って消えてくれ 記憶の島バス停にバスは 止まらなかった女がイヤな顔をして ...
  • 12号室

    12号室

    彼女は美しかった 真っ白な顔をしてたきれいな髪をしてた 声もやわらかだった彼女の室はいつも 花の香りがしたいい香りがした ものすごくあったかだった彼女は人もうらやむほどの ほとんどをそこでは持ってたそこに入る訳は 8つの俺でも解っていた今より良くなるために 必要だと解っていたそこは動物園だった みんな変な形をしてた仲間...
  • 夢を見るには

    夢を見るには

    お前と別れるのは 照れくさいけどやっぱちょっと淋しい俺とはまるで違う奴だったし仕事以外に 話しもなかったけどおかしなもんだ 女といるよりお前といた時間の方が長かったどこへいくつもりか わかんねぇけどお前の歩く空が晴れてたらいいななんだかんだ言って ずいぶん世話になったそして 俺は何もしてやらんかった俺の前で 俺の後ろで...
  • 夜しか泳げない

    夜しか泳げない

    扇風機はカタカタと 煙った空気をかきまわしてテレビは今じゃあまり見られない 砂の絵を描いてる頃にわとりの代わりに ざわめきが朝を教えてくれここで暮らすほとんどの人に 気にかけてもらえない空に太陽が入ってくる夜しか泳げない魚は 影を連れて歩かないだけど 光だけが光じゃないことだけは 太陽より知っているアルコールとニコチン...
  • 俺の声

    俺の声

    色褪せても笑うヒーロー達の写真は栄光と挫折を一度に晒してしまういらつかせる夜が 今日も眠らせちゃくれない闇の中を俺は 睨みつけるしかない俺は王様だと思ってた俺の声で誰でも踊ると思ってただがしかし 俺の叫ぶ声はピンボールさ はねてるだけいつの間にか秋が またそこに立ってた走り続けてきたが また一周しただけそうさいつの間に...