• 椿屋四重奏

    「72」
  • moonlight

    moonlight

    なぜそんなになぜそんなに波風立てていくのなぜそんなになぜそんなに悲しみを連れてくのわかっているさその理由もすべて痛い程君が君のことを知ってるからその愚かさも素晴らしさも身にまとう君は奇麗だよその愚かさも素晴らしさも認める君が好きだよなぜこんなになぜこんなに胸の奥が痛むのなぜこんなになぜこんなに君の事が好きなの変わらなく...
  • LOVER

    LOVER

    何も言わず傍に雨にぬれた体をいつの間にか君は望みを解いていた愛のまやかし まどろみ傷つくことすら忘れたよきれいな心とかあきらめたら 楽になるから君の中で 君の中で何もかもが焼け落ちて行くよためらわずに今日は僕のために捧げてほしいすべてが嘘だと言うなら言葉にすがるのは不確かなせいだろこの手を離すなら迷わないでおくれよ夜の...
  • 共犯

    共犯

    明日には 覚えちゃいないだろう見せかけの光で眩ます今夜他にする事無いから肌を合わせて明日から 君は気づくのだろう見せかけの姿で騙せるような憧れだけじゃ 満たされなくて溜息ついてばかりろくに言葉も交わさず望む事はひとつだけ惜しげも無く見せた 秘密はあまりに無防備もう手遅れ もう手遅れ貸し借りの愛なんて 見飽きたんだよ繰り...
  • トワ

    トワ

    額をあわせて 言葉に出さずとも繋げられた気がした網戸をすり抜ける風も優しい見渡す景色の すべてが色付いたその理由を見つけた君を作り出した日々の美しさ心は絶えず彷徨いながら いたるところに跡を残した君を抱いていたいよ 側にあってほしいんだよ海のような この空のような失われないその意味を君を抱いていたいよ それ以外にいらな...
  • 幻惑

    幻惑

    時に我を忘れては探したあの日君を塗り替えた幻軽はずみに覚えたのは誘惑にも似た目配せ抜け殻のままでいたから 怖くはない使い慣れた裏切りの刃先はやがて君の自惚れを殺した赤い口紅で隠したささやかな少女の記憶無自覚な君の素肌に 踏み入れたいただ僕らは 受け入れるだけの身体を互いに寄せ その傷を舐め合った叶うならば 胸を焦がすよ...
  • サイレンス

    サイレンス

    完全なるサイレンス暗闇のステージ覚醒のマイク握って傍観の奴らにぶっ放し完全なサイエンス人体実験装置スモークを焚いて眠った軽薄で陽気な女さあ ベイビーお前の好きなように踊りなよ回転灯にサイレン狂騒のビート刻んでI don't know つれないね感情なんてないぜ倦怠そうなレディ興奮ばっかつないで当然だって笑って後悔なんて...
  • 朱い鳥

    朱い鳥

    遠回しに書いた あなたへの思い春の風吹いて 花のドレスまとうの記憶は脆く あてにはならず私は運命が頼り愛の海の中で 漂う小舟はあなたの胸に抱かれ 朱い鳥に変わる心の芽生え 嘘でもいいの私は少し病気です森の中を裸で彷徨う夢を見たわこれからどんな話をするの握りしめた手の温もり 愛の逃げ場所は白い空 遠い国 あなたが居ないと...
  • 紫陽花

    紫陽花

    言葉がいくら足りても果たして風は起こせるかいそれと一緒で僕の手では君の心を動かせない笑いながら恋は 雨に流れて消えた虹色の濁った希望と共に笑いながら君は 雨に流れて消えたずぶ濡れの紫陽花みたいに綺麗で悲しいじゃれ合う晴れの日には曇りひとつなく笑ってやみそうもない雨の日には傷ばかりを作ったふたり笑いながら恋は 雨に流れて...
  • 踊り子

    踊り子

    取り逃がした喜びの売りさばいた幼気の知る由もない俺の運命振り乱した黒髪のまき散らす甘い匂いの気のふれた踊り子の様で哀しくはないよ 負い目なんてないよいつだって心は満たされて好き勝手やってさ 覚えが無くてさいつだって辺りは焼け野原転ぶ欲望の速度に捕まえた腕の力振り向くより速く仕留めて崩れだした君の虚像剥がれ落ちた俺の虚像...
  • 陽炎

    陽炎

    あれから幾年は過ぎて君はどれくらい変わったんだろう真夏の閉め切った部屋で何度も何度も繰り返し欲しがった日々あれから幾年は過ぎて僕はどれくらい変わったんだろう上手に嘘もつけますあんなに簡単に騙されて無知だったのに青い太陽に目が眩むいつかのあの日もそうでした夕焼け 夕立 夢現陽炎立つあの道君が揺れていた力なく微笑みを差し出...
  • 君無しじゃいられない

    君無しじゃいられない

    ああ君よ 心もとない僕の為に今夜は部屋の鍵を開けたままで ステイああ君よ いつも晴れない僕の空に沈まぬ陽と虹の絵を書き足しておくれよ柔らかな胸の中で こんな男の悪あがきを讃えてくれ 眠りにつくまで ただ無性に君が好きでその異常な熱が好きで夢の淵で覗いた 隙だらけの君がただ過剰に君が好きでその魔性で首を絞めて押さえ切れな...
  • 砂の薔薇

    砂の薔薇

    鮮やかな幻に 埋め尽くされた体背中に残ったままの 歯型 爪の跡かかとで無情を鳴らし 尽きた日々の坂道君はまた同じように 傷を見せに来たやがて失われてゆく その時間が触れたもの青醒めた海の深くに 沈めたから燃え移るほど傍に来て 凍てつくこの身を溶かしてたとえ記憶が息をしなくなっても今そこにある君が愛しい敷き詰めた幻に 紛...
  • 手つかずの世界

    手つかずの世界

    その気配が感ぜられた 四六時中を思い出しては空の色さえ変えた 心の変わり様に呆れた二人にだけ聞こえるよな 囁きを絶えず繰り返して誰の目にも見えない 手つかずの場所へ迷い込んだ次の迎えを待つのは 野暮だと心得ていたいずれにせよ あなた以外に望みは無いから構わずに 構わずに 話を続けてよ身に覚えが無いでしょうけど 知らぬ間...
  • 熱病

    熱病

    錆び付いた空の肌 ライターの火を当てたり自暴自棄な真似事をしてみたりまるで蜃気楼の街を 借り物の姿で躱しながら君の元へ向かった何も知らぬ素振りで 肩にもたれた君の胸に宿した確かな熱に触れた 夜のはじまり 指を絡ませ 囁く言葉疑いを掠めたまなざしはぐれた君は 僕の名前を繰り返し呼ぶしか出来ずにいた逆さまになった言葉 追い...
  • プロローグ

    プロローグ

    遠く流れ去ったあの日 窓に伝う雨の雫誰かの影を残した部屋の隅で記憶から風が漏れて 鼻先を撫でて消えた確か眠らせたはずの胸の鼓動次々と心をよぎった見るも鮮やかな世界の誘い時計の針を合わせて 身支度は軽く済ませ目覚めた夢は助手席に座らせて春から夏への途中らしいひときわ眩しい日差しの中へ有り余った悲しみを 連れ添って拾いに行...
  • 螺旋階段

    螺旋階段

    朝もやがまた君を さらうように包み隠したかさぶたに触れながら 黙ったまま背中で逃がした気後れの度に間に合わせた慣らした嘘は手放して重なる度に溺れて 口づけで息を止めてなけなしの夢の中で 継ぎ足した幸せを行方知れずの心と 高鳴る胸を鎮めて恋と呼ぶには あまりに救われない気がして仕方ないんだ恋路の果てに見えた 紫の夕闇の中...
  • 嵐が丘

    嵐が丘

    最果てに身を沈めた 夕陽の足跡を数えて燃え尽きたか弱き火は もうじき 星屑になるのさ穴の開いたその体を 地べたに寝かしつけて嬉し悲しき 共にあり 忘れ難きをまた灯し嵐の中 自ずと望んだ この場所に涙と雨の 涙と雨の 祝福を春の陽が包み込んだ 幼い日の心にどこかしら似ているような 気がした 眠りの中でこの嵐が過ぎる頃に ...
  • 一刹那

    一刹那

    点々と足跡 順風に非ざる 現を零し歩く銘々の手招き 早々 戻らぬ様子 己んだ幻を追ふてさすれば問ひを仕舞う 仰げば雨粒手が頬を打つ行灯を頼りて 恋情にもたれた 尽きて再び灯すさすれば明後に知らす 病葉 水溜りの一刹那月下にて顧みた 一刹那詩歌 切れ切れの盲信を 十重に二十重に庇ふ無様を くゆらすは白々し御夜に すがる身...
  • 硝子玉

    硝子玉

    私に向ける視線も今は 熱を失い曇る硝子玉聞き返すような真似は出来ない 微かに見えたあの日の惑い無限に続く程の思いが 些細な傷で潰えてしまう記憶が色を失う頃に この苦しみも消えるのでしょうか知る度後に引き返せない 赤い鼓動に突き動かされて血がたぎるのを押さえきれずに 雨に打たれて熱を冷ました波音だけが響く砂浜 我を忘れて...
  • 空中分解

    空中分解

    俺はこの手を透かした 銀色のまばゆい陽の光遮りながら道を歩いた お前にただれたその後に指の先に染みついた もどかしい記憶に立ち眩む鋭い爪が背中を裂いた お前にただれたその挙げ句魂が宙を舞った 手綱を解いて悲しいが満たされ 帰れなくなった必要以上に どこか異常な言葉をちりばめて 喜ぶ魂が宙を舞った 見境なくなって罪に踊ら...