• こおり健太

    「44」
  • おぼろ月

    おぼろ月

    吐息に曇る 手鏡に書いてまた消す あなたの名前やつれて痩せた 指の先一人の夜は 長すぎて他の人など 愛せないあなた恋しい…窓に涙の おぼろ月別れが来ると 気づかずに肩に寄り添い 甘えた月日梳(と)かした髪が 揺れるたびあなたの匂い こぼれます信じられない 今もまだ声が聞きたい…夢は儚(はかな)い 未練月今頃あなた 誰と...
  • 泣いてください

    泣いてください

    激しく 雨が降りしきる二人の別れ 急(せ)かせるように理由(わけ)など聞かない 聞いたならなおさら惨めに なるだけね泣いてください 私のために嘘でも涙を 流して欲しいあなたの 胸に誰かいる抱かれるたびに 感じていたの男のずるさを 許してもいつかはあなたを 恨むだけ泣いてください 私のためにいい人だったと 思えるようにひ...
  • どこから見てもへの字山

    どこから見てもへの字山

    どこから見てもへの字山 春の陽気に誘われて放課後ひとりで登ったら 生まれて育った町が見えたここでそのまま年老いて 昔の夢を悔しがるそんな人生ごめんだと ああ~そう思ったよどこから見てもへの字山 夏は早よからじいちゃんと栗やクヌギを揺すっては クワガタ虫にカブト虫人の喜ぶ人になれ いつもおんなじ口癖は今も変わらず空の上 ...
  • 口紅哀歌

    口紅哀歌

    仕方がないでしょう あきらめるしか追いかけても惨めなだけ 虚しいだけよ別れてあげましょう どんな花でもひび割れてる花瓶ならば 枯れて散るのよまわれまわれまわれ 時計よ早くすべて忘れたいからめぐれめぐれめぐれ 季節よ早くさよならを告げるための口紅を 選ぶ夕暮れ勝手で我がままな 女だったともしも人に聞かれたなら 悪く話して...